世界最古のバイクメーカー

ロイヤルエンフィールド社は、バイクメーカーとして世界最古の会社であるだけでなく、販売しているブリット(BULLET)というモデルは世界で最も長く生産され続けているモデルです。

その前身は、19世紀半ばにイングランドの南西部であるウスターシャ州レディッチにあった、ジョージ・タウンゼントアンドカンパニーでした。

この会社は、バイクとは全く無関係のミシン針や機械部品を製造していました。

 

1892年、ザ・エンフィールドという商標で自転車を製造販売開始したことで、バイクメーカーへと近づきます。

この自転車の名前の由来となったのは、業務提携先であったロイヤルスモールアームズファクトリーの工場が、エンフィールドという土地にあったからです。

そして、この会社の自転車製造を行っていた部門が独立して1897年に業務を開始したのが、エンフィールドサイクルカンパニーでした。

 

設計はフランスのデザイナーに依頼し、1901年には初めてのバイクを製作しています。

1910年にスイスMAG製のVツイン搭載車の生産、1912年に自社製エンジン搭載第1号車であるモデル160を発売したことで、正式なバイクメーカーになったと言えます。

その後も様々なモデルを開発、販売していきかなり意欲的に活動しています。

そんな中で1931年に発売され、翌年にブリットと名付けられたモデルは、現在のロイヤルエンフィールドモーターサイクルのルーツとなっている350ccの4サイクル車でした。

第二次世界大戦中のロイヤルエンフィールドも、他社と同様に軍用車両の生産をしています。

 

ロイヤルエンフィールド本社の倒産とインドでの発展

戦後も新モデルの開発、販売は継続しており、1950年代半ば頃からアメリカ市場への進出も行っていて、有名なインディアンブランドで各モデルを販売しました。

ウッズマン、フューリーといった名前でブリットの販売も行いますが、そこまで売れ行きは伸びませんでした。

1962年になると会社が売却されてしまい、イギリス国内におけるブリット生産は終了していますが、他モデルは継続して生産されて新モデル開発や既存モデルの改良なども行っています。

ですが、いずれのモデルも安価な上に高性能な日本車に押され、販売は伸び悩みます。

 

そして1970年の末、ついにロイヤルエンフィールドは倒産してしまいます。

残ったインターセプターエンジンの全てがリックマンへ売却され、カスタムバイクが造られます。

その一方、1954年にはインドでサテライト工場が設立され、イギリスでバイク製造について勉強させたインドのスタッフを中心として、バイクの生産を始めています。

こうしてエンフィールドインディアとなったこの工場は、1955年式のブリットに多少改良はしながらも、同スペックのまま半世紀以上に渡って生産し続けてきました。

ロイヤルエンフィールドの本社が倒産してからは、イギリス国内でのブリットへの需要を満たすためにインドからイギリスに輸出するようになります。

 

1955年になるとエイカーグループから資本提供されてからは品質向上、生産ライン見直しなどで大きく改善されました。

さらにロイヤルエンフィールドの商標取得をしたことで、エンフィールドインディアからロイヤルエンフィールドへと社名の変更も行っています。

2008年に市場へ投入した、ELCTRA 500EFIに搭載されたユニットコンストラクションエンジンは新設計のエンジンで、電子制御インジェクション、アルミシリンダー、騒音の低減、キャタライザー採用によってヨーロッパにおける排出ガス規制にも対応するなど、世界的環境基準もクリアしたのです。

その後も新モデルを発売しており、これからも伝統と伝説のロイヤルエンフィールドは発展し続けることでしょう。

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