ホンダのモトコンポの特徴について
ホンダのモトコンポは排気量が49ccの原動機付自転車で、1981年に発売されたものです。
非常にコンパクトなサイズとユニークなデザインで話題となりましたが、ビジネスの観点から見ると成功したとは言い難く、発売から4年後の1985年には生産が終了しています。
このバイクの最大の特徴は、同じくホンダから発売されていたコンパクトカーの「シティ」とと連携を前提にしていた点です。
1231ccのコンパクトなサイズで話題されたシティに搭載できるバイクとして発売されており、実際にシティにすっぽり収まって搭載できるサイズになっています。
そのため、発売当初から「シティのおまけ」として扱われてしまう面があり、それが販売実績において失敗に終わった原因ともなっています。
コンパクトカーに収納できることを前提に作られているため、バイクの本体は非常にコンパクト、しかもハンドルやステップ、シートは折りたたみ式です。
ハンドルとシートを折りたたんだ状態にすると、ボディの上部が真っ平らになるのも大きな特徴として当時話題になりました。
サイズはホンダの小型バイクとして当時人気があったモンキーよりもさらに小さく、重量はわずか45kgです。
小学生の子供くらいの重さなので簡単に持ち運びができるという、徹底して「持ち運びできるバイク」としての面を強調したつくりになっていました。
なお、名称の由来はモーターバイクの「モト」と、当時オーディオの世界で人気を得ていた「コンポ」を組み合わせた造語です。
オーディオのミニコンポをイメージしたコンセプトだったのかもしれません。
ホンダのモトコンポが作られた経緯
コンパクトカーのシティに収納できることを前提に作られたバイクですから、シティとの相乗効果を見越して開発・製造したホンダの目論見を推測することができます。
シティが売れれずモトコンポの売上も伸び、またモトコンポを気に入ったライダーが車を購入する際にシティを選ぶ、といったシチュエーションを想定したのでしょう。
もうひとつ、このバイクが作られた経緯として、キャンプ場やサーキットなどで利用することを想定していた点が挙げられます。
現地までは車で移動し、そこから小回りが聞くモトコンポで移動することで快適な滞在を楽しむことができるわけです。
いずれにせよ、先述したようにシティのおまけのような扱いを受けてしまったため、結果的にはシティのユーザー以外から評価されず、相乗効果どころか裏目に出てしまった面があります。
しかしその独特のデザインや特徴への評価は高く、生産終了後にバイク好きの間から人気が高まったり、映像作品やコミック作品などサブカルチャーで取り上げられる機会もあります。
失敗はしたけれども忘れがたいバイク、といったところでしょうか。