イタリアの偉大なバイクメーカー

モト・モリーニは1937年にイタリアのボローニャで、アルフォンソ・モリーニによって設立されたバイクメーカーです。

バイクの修理業を経て、モリーニが16歳という若さで1914年に自分の店を持ったのが前身となっています。

これは第一次世界大戦の直前で、モリーニは戦時中にパドヴァで駐屯していたオートバイ部隊、第8機動隊からの仕事を請け負っています。

マリオ・マゼッティは、そんなモリーニの腕を見込んでレーサー、バイク製造、単気筒の125ccエンジン製造、設計担当として1925年に迎え入れます。

 

2人のブランドであったMMのバイクは、モリーニの巧みなテクニックもあり、レースで成功します。

1927年に樹立した6件の世界記録は、この後20年破られることはありませんでした。

さらに1933年には、175ccバイクで当時最高時速の182km/hを記録します。

 

そして1937年、マゼッティのモトを去ったモリーニが立ち上げたブランドが、モト・モリーニだったのです。

当初は350ccと500ccのオート三輪を製造しており、燃費が良く軽量だったこれらのマシンは政府が定めていた規制にもきちんと合致し、続いて発売されたM610モデルではカルダン駆動方式に負けない高機能性を持っていました。

ところが第二次世界大戦が始まると、航空機のコンポーネントを製造するよう任ぜられ、オート三輪製造は中断してしまいます。

しかも、1943年には工場が爆撃されています。

 

バイクメーカーとしての復活とモデルの特徴

モト・モリーニの復活は1946年で、ボローニャのベルティ通りに新工場を作っています。

そこから3段トランスミッションを備えた2ストローク単気筒エンジン搭載バイク、T125を発売、翌年にはそのスポーツバージョンの発表を行います。

モト・モリーニのバイクは優れたレーサーにも恵まれ、数々のバイクレースで優勝など好成績を収めました。

モト・モリーニに乗って栄光を掴んだレーサーには、タルクィニオ・プロヴィーニ、ジャコモ・アゴスチーニなどがいます。

1953年、175ccの4ストロークOHVエンジンを搭載したバイクは、Tresette、Briscola、Rebello、Settebello、Supersportなどのモデル名で販売されました。

1956年には工場の規模拡大、ベルガミ通りへの移転を行っています。

 

モリーニは1969年に亡くなりますが、その後は娘のガブリエラが引き継いでいます。

1970年代に入ると、72度Vツインモデルを発表、Sport、Stradaなどのブランドとして販売されたこのバイクは、144kgという軽量にもかかわらず排気量は350cc、25mmVBHデロルトキャブレターを採用しています。

1977年に発売されたVツイン500ccの6段変速モデルでは、オフセットレイアウトとして前後シリンダーが50mmずらされ、ピン駆動コンロッド、大型平軸受け、ボールメインベアリング、鍛鉄成形クランクシャフト、ヘロンヘッドなどが搭載されていました。

さらにセルモータータイプ、キックスタートタイプがそれぞれに用意され、チェリアーニ製リアサスペンション、マルゾッキ製フロントフォークが鋼鉄製デュプレックスフレームに取り付けられています。

 

カジバへの売却と再興

1980年代にも続々と良モデルを発表していましたが、激しい労働争議や販売台数の現象によって徐々に疲弊してしまい、業績悪化も進んでいきます。

あのハーレーもモト・モリーニのV型エンジンには興味を抱き、小排気量モデルへの採用を検討していましたが、モト・モリーニの財政問題が浮上したため立ち消えになりました。

1987年、経営を退いたガブリエラによって工場がカジバに売却されます。

 

カジバは新しい技術の開発に消極的だったため、モト・モリーニの優れた技術者が去ってしまい、その後のモト・モリーニは一気に衰退し、アルフォンソ・モリーニの甥であるフランコ・モリーニがモト・モリーニを1999年に買い取るまで、再興されることもありませんでした。

再興してからのモト・モリーニは、コルサーロ1200、9 1/2、コルサーロ・ヴェロッセ1200などを発表しています。

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