レーシングスーツはアルパインスターズとダイネーゼが大半を占める

MotoGPライダーは、過酷なレースを戦っていくためにすべての装備品を厳選しています。
それはレーシングスーツにも表れています。
実際にどのメーカーのスーツを着用しているかを調べると、アルパインスターズとダイネーゼが大きなシェアを占めていることが分かります。
具体的には、アルパインスターズは45パーセント、ダイネーゼが23パーセントと、これら2つだけで全体の7割近くを占めているのです。

これにはいくつかの理由が考えられます。
まず、MotoGPでは義務付けがなされているエアバッグシステムで、これらのメーカーが独占状態にあるという点です。
すでにこの分野における信頼性と知名度がありますので、そのままアルパインスターズとダイネーゼを選ぶチームが多いわけです。
またこれらのメーカーは素材やパーツ製造の技術が高いため、他メーカーのレーシングスーツだとしても、どこかでアルパインスターズかダイネーゼの素材が使われていることが多いというのもポイントです。

アルパインスターズのスーツの特徴

アルパインスターズはイタリアのメーカーで、その名称からも分かるように、元々は登山用のアイテムを作っていました。
その後、過酷な環境でも着る人の安全を守る技術とアイディアがバイク用品に移管されるようになります。
1970年代にはロードレースのトップ選手であるケニー・ロバーツが着用していたことから話題となり、一気に広がっていきます。

頑丈で体にフィットする快適さや、摩擦や熱に強い安全性が特徴となっています。
山岳用品で培われた軽量化の技術や無駄がなく快適に着られる縫製技術などがいかされています。

また、常により良い製品を作るという姿勢が強く、新素材の採用や最新技術を使った縫製などにもチャレンジしています。
そのため、根本的な品質が高いだけでなく、先進的な機能を持つスーツを届けることができているのです。

ダイネーゼのスーツの特徴

ダイネーゼもイタリアをルーツとするブランドで、最初からモータースポーツ向けのアイテムを開発しています。
1972年に設立されていて、人間工学を考えた機能的なスーツを作るのを得意としています。
そして、イタリアらしくデザイン性にもこだわっているのが大きな特徴です。
1970年代はレースレザースーツというとブラック一色が定番でしたが、いくつもの色を織り込んで華のあるレーサーを演出し始めたのもダイネーゼです。

こうしてレースの楽しさを広げると共に、レーサーの視認性を良くして安全面での向上を図るというメリットも生み出します。
その後も、完璧な縫製技術と新素材の採用などに積極的に取り組み、第一線のレーサーが愛用するスーツを送り出してきました。

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